昨今の新型コロナウイルス感染症拡大の中、去る7月23日(木・祝)、箱根登山鉄道が全線で運転を再開しました。
昨年の台風19号による被災から9か月。
箱根登山鉄道全線開通を祝い、親会社である小田急電鉄が、
臨時特急ロマンスカー「おかえり登山電車号」を運行し、
そこに私(筆者)は町田駅から乗車しました。
※写真はイメージです
ロマンスカーに乗車
・・・臨時61号の車内はいつもよりテカテカに見えた。
これから一生に一度の列車がやってくる。
そう思うと胸がうずうずしてくる。
6時45分ごろ、町田駅2番線ホームに赤いロマンスカー、GSEがやってきた。
前方の展望席はほとんど席が埋まっていた。
「そうか、俺はたった0コンマ何秒でこの人たちに負けたのか」と思った。
方向幕にはオリジナルの「おかえり登山電車号」と描かれていた。
この上ない幸福にウキウキしながら、3号車6B席に座った。
となりの6A席には人がいなかった。
しばらく独り占めだ。
6時48分、町田を発車。
「ロマンスをもう一度」が流れ、車掌の軽い挨拶。
そうしているうちに相模大野を通過し、大野車両基地が見えてくる。
久しぶりに小田原方面へと行く。
「小田原方面へ行くぞ」と思うときの第一歩は大野車両基地をながめることなのである。
プレゼント企画
そのころである。箱根登山鉄道の社員の方々が何やら紙切れを乗客に渡していた。
これはのちに車内で購入できる運転再開記念切符の整理券である。
これは各停車駅で乗り込む人たちに配るためのもの。
私は町田から乗ったので、大野でもらったわけである。
本厚木に停車するが、私の隣、6A席には誰も座っていない。
いや、むしろ本厚木から乗る人が少ない。
ピンときた。
キャンセルか。
私の横とその前の方には誰もいない。
私の前に4人組がボックスにして語らっているくらいだ。
コロナ恐るべし。
本厚木を出ると、田園風景が目立つ。
いよいよ山中に入るようだ。
各主要駅では駅員によるお見送りもあり、鉄道イベントに参加しているかんじがする。
そうこうしているうちに、秦野に停車。
人は乗ってこなかった。
発車後に登山鉄道の社員の方がまた車内にやってくる。
待ちに待ったプレゼント配布と切符の購入である。
2人の社員が切符を、男性の社員1人がプレゼントを配布する。
購入者はほぼ全員なので、車内は少し混乱しているようにも見えた。
切符の値段は二枚組で820円。
世界にわずかしかないものと考えると、高く感じなかった。
プレゼントはGSEグッズだた。
ペーパークラフト、メモ用紙、ジップロックといったところだ。
やはりこの時間は非常に楽しいものとなった。
列車は渋沢を通過し、小田原へと走る。
ラストスパート
小田原にはしばらく停車した。
車外で行先標を改めて撮影する者、記念写真を撮る者、いろいろいる。
小田原を発車し、ホームの先では駅員がお見送りで手を振っていた。
思わず私も手を振った。
ここからは箱根登山鉄道に入る。
単線なのときつい勾配で非常にゆっくり走っている。
しばらくはJR線と並走。
左手に215系がとまっていた。
隣の6A席にはついに誰も座らなかった。
最後まで独り占めである。
箱根湯本の手前、入生田のあたり、『ロマンスをもう一度』が流れ、箱根登山鉄道の社員の方が挨拶をする。
「登山電車で待ってるよー」
そんな声を聞いてとても嬉しくなった。
「今日登山電車は運転を再開します。
長い間待っていてくださりありがとうございました」。
そんなたぐいの放送。
1語1語が感謝の気持ちで埋め尽くされていた。
思わず拍手をしそうになった。
そして列車は終着、箱根湯本駅に到着。
ホームにて
箱根湯本駅に到着し、ホームに降りると人だかりが。
7両編成のGSE、
そしてキャンセルが多数出たのにもかかわらず、
多くの人がこのイベントに参加していたのだ。
降りた人たちは撮影に忙しく、
常に人が行き交っていた。
「この列車は折り返しはこね2号となります。
方向幕もまもなく変えさせていただきます」
というアナウンスが流れ、
今度は方向幕を急いで撮影する。
本当に忙しそうだ。
そうしているうちに方向幕は変えられ、
はこね2号は山の中に消えていった。
こうしてイベントは終わり、
おのおの箱根路をゆく。
次は復活した登山電車の乗車だ。
復活の登山電車に乗車
さあ、ついにきた!
この日、このときをどんなに待ちわびていたか。
9か月のねむりから登山電車が目を覚ます。
今回はその記録を綴っておく。
急な箱根路をゆく
箱根湯本駅3番線ホームに入線してきたのは1000形、
通称「ペルニナ」号。
赤地に白の模様。
スイスの登山電車を思わせるような姿だ。
ちなみに前発はモハ1形という古参列車。
例のロマンスカーの乗客が乗り継ぐ列車だったのだが、
“3密“を避けるため、次発を待つことにした。
こうして4人がけボックスシートを独り占めした。
ロマンスカー乗客が前発に乗って行ったこともあり、
車内は空いていた。
後方車両だからであろうか。
もったいない。
この後方車両の方があとあと得なのに・・・。
ともかく安全にドアを閉められ、
ゆっくりと箱根湯本駅を発った。
急坂、トンネル、スイッチバック・・・
箱根湯本駅を出たらすぐに列車を待ち構えたのは、
急坂だ。
急坂は登山電車の象徴的なものだ。
ちなみに箱根登山鉄道には、勾配が日本一位、
世界でも二位の超急勾配がある。
そしてトンネル。
トンネルも山がちなところを走る
登山電車の象徴だ。
レンガ造りのトンネル。
これは箱根登山鉄道がつくられるとき、
つまりおよそ100年前に造られたものだろう。
関東大震災や東日本大震災にも
耐え抜いてきたことになる。
当時の日本の建築技術の高さがうかがえる。
珍事発生!?
塔ノ沢までの道、
自動放送が流れていたのだが、
突然、
「左手には、彫刻の森が見えてまいります」
というではないか。
おまけに、
「次は小涌谷です」
とまでいうではないか。
どうやら自動放送の設定を誤っていたようで、
乗客のひとりが車掌に教えていた。
順調に山道をゆく
塔ノ沢を出発し、
緑色の鉄橋を渡り、
しばらくすると列車のスピードが緩む。
「駅か?」と思った人は初心者である。
この鉄道の最大の魅力のひとつ、
スイッチバックだ。
スイッチバックとは文字どおり、行き止まり式の信号場に入り、
方向を変えて急な坂道を登っていくというものだ。
箱根湯本駅から数えて最初のスイッチバックを行うのは、
出山信号場。
そのとき、
「横から別の電車が来てるよ!」と子どもの声。
見ると、強羅からやってきた箱根湯本行きの上り電車が並走している!
お分かりいただけるだろうか。
これは珍しい。
たまたま時間がぴったりと合ったのだ。
こちらから見ると空から降りてきたようにも見える。
何とも面白い。
そして2編成ともに停車。
ふと右を見ると、
見覚えのある緑色の鉄橋が。
あんなところから上がってきたようだ。
このように、
高低差を実感できるのも
登山電車ならではだ。
出山信号場を発車。
箱根登山鉄道のスイッチバックは全部で3回。
あとの2つは大平台駅と、
上大平台信号場だ。
スイッチバックが3回あるということは、
箱根湯本駅を出発するとき一番後ろだった車両が、
強羅駅到着時には先頭になる。
得だと言った理由はそこにあるのだ。
急カーブの連続
大平台駅、上大平台信号場をすぎ、
後半の道をひたすら走る。
しかし、突然ストップ。
どうしたものかと窓のそとに目をやると、
「仙人台信号場」とある。
なるほど、スイッチバックはしなくても
交換のための信号場はあるのか。
線路が2つにわかれており、
交換が可能になっている。
しかし今回はなし。
すぐに発車した。
宮ノ下あたりからは急カーブが目立つ。
急坂はたくさんあるがスイッチバックの設備を整えるほどではない。
そこで、カーブを極限まで曲げているのだ。
車内の側面の窓から後方の車両が見える。
この路線は本当に面白いものづくしで、
見飽きることはない。
終点、強羅
彫刻の森をすぎ、終点のアナウンスがなされた。
彫刻の森駅と終点強羅駅の距離は短い。
所要時間は2分だ。
ドアが開き、ホームに降りる。
やはりこの駅も賑やかだった。
箱根湯本駅からの所要時間はおよそ45分であったが、
楽しいものであった。
自分自身、箱根に来るのは1年ぶりということもあり、
新鮮な感じもした。
ハプニング発生!?
ところが、である。
「ロープウェイは故障のため、
早雲山〜大涌谷は運休となります」。
さっきまで平常運転だったのに!
こんなことは今まで1度もなかった。
3、4度目の箱根で手痛い洗礼を受けてしまった。
・・・とはいえさすが箱根。
バス路線も充実している。
調べると、桃源台まで迂回できる路線があった。
よかったよかった。
次回予告
次回の動画、記事では、桃源台港から元箱根港まで。
「箱根海賊船」の「クイーン芦ノ湖号」の
なんと、「特別船室」に乗船!!
お楽しみに!!
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